スライムの仕組み(構造)
1.ホウ砂
ホウ砂の化学式はNa2B4O7・10H2Oと書かれてきましたが、新しい本では、
Na2[B4O5(OH)4]・8H20に変わっている。これは、ホウ砂の構造が下の
図のようになっていることが確かめられたため。
今までは結晶水として10個の水分子が含まれていると考えられていたが、
実は結晶水として含まれる水分子は8個で。残り2個の水分子は、2個の酸素原子
と合わせて4個の-OHとしてホウ素原子(B)に結合していたというのがわかった。
ホウ砂の水溶液では、Na?と[B4O5(OH)4]2? とに
わかれる。スライムを作る時の条件では
このイオンがさらに5分子の水と反応して、2個の
B(OH)3(ホウ酸分子)と2個のB(OH)4?
(ホウ酸イオンに分解している。そしてB(OH)4?が
ポリビニルアルコールの長い鎖どうしを結びつける働き
をする。
ホウ砂のイオンのままでもいいように思う?かもしれませんが、次の図のような理由で
B(OH)4?が反応していると考えられる。つまりホウ砂の代わりにホウ酸を使うと
その間をむすぶ働きをするイオン
がなくなるので
スライムはできない。しかしそこに
ある通りOH?を加えればいいの
で、ホウ砂に関連した薬品として
NaOHを加えるとスライムを作る
ことは可能となる。
B(OH)3 + NaOH → B(OH)4- + Na+ のような反応がおきて
B(OH)4?が生じるのでスライムがつくれるということになる。
2.ポリ=ビニル=アルコール
これについては をみてもいいでしょう。
ポリビニルアルコールとは、3つの単語、ポリ、ビニル、アルコールを組み合わせて作った化合物
の名前。
アルコール −OH(ヒドロキシル基)をもった分子のこと
ビニル H
| (ビニル基)
C=C−
| |
H H
ポリ 同じ種類の小さな分子が多数結合していること
右の構造式のように
ビニル基とヒドロキシル基が結合すると、
ビニル・アルコールとなります。
ビニル・アルコール分子がたくさん結合した
分子がポリビニルアルコールです。
二重結合の一本が切れて結合します。
つまり縮合
3.スライム
1個のB(OH)4?とポリビニルアルコール分子の4個のヒドロキシル基との間で
水素結合といわれる弱い結合をしているのが、スライムです。
右の図をみると、
2本の長いポリビニルアルコール分子の間で何箇所も
ポリビニルアルコールをB(OH)4?が水素結合によって
くっつけているところがあるとわかります。
また、結合の相手の分子も場所によって違います。
スライムの形が自由にかわるのは、この水素結合が
弱いので弱い力が加わるだけでもきれるのだが、
切れてもまたすぐに別の相手と結合するために
スライム自体は切れることはないというわけです。
このような仕組みをしているわけです。ホウ酸がなければスライムは成り立たないのです。
このことは、分子模型を作ることでよくわかります。
4.ホウ砂とホウ酸の毒性
ホウ砂、ホウ酸は毒性があります。
家庭ではうがい薬や洗顔用の消毒薬として長い間つかわれてきた薬品ではありますが
実をいうと結構な毒性があります。
「7歳以下の子供では5グラム以下でも死に至ることがある」 &
「大人でもホウ酸は多量に飲み込むと有毒で約20グラムが有毒である」 &
「ホウ酸はゴキブリ殺しによい」 などと記述された本もあるぐらいで
ホウ砂やホウ酸を使うときは、その毒性の程度を知った上で、薬品の管理に注意する
必要があります。
症状について、
ホウ砂: 幼い子供が、5〜10グラム摂取すると、吐いたり下痢をしたりして、ショック
や死にいたることもある。
ホウ酸: 飲んだり吸い込んだりすると、吐き気・嘔吐・下痢・腹の痙攣・皮膚や粘膜の
紅斑・循環器系の虚脱・心悸高進・チアノーゼ・意識混濁・痙攣発作・昏睡を
引き起こすことがある。7歳以下の子供では5グラム以下でも死に至ることが
ある。大人では、5〜20グラムである。